ルクティア同盟




キミがいる



こんなにも愛しいなんて

出会ったばかりの頃は思いもしなかった

我儘で、傲慢で、子供で―――

でも、あの事件以来彼は変わった

……いえ、変わろうと努力し始めた

無知だった自分を責めて、卑屈になったけど

自分の存在理由を必死になって探してた

そんな彼に私はだんだん惹かれていった

そして、長い旅の中で彼はようやく見つけることが出来た

でも、彼はそれと引き換えに命を削った

結果、彼は残り僅かな生命となってしまった

彼は言っていた

―――死にたくはない、生きていたい

でも、どうしようもないんだったせめて笑って過ごしたい、と―――

私には何もできなかった

あんなにも大切な彼に何もしてあげられなかった

そして、大好きだった兄さんの亡骸の傍で彼は消えていった

必ず帰ってくると約束して―――





わかってた

あれは嘘だってことぐらい

彼の、優しい嘘だってことぐらい

でも、私はその嘘に縋りつかないと生きていけない程

彼のことを愛していた





彼のいない間、何度も「諦めろ」と私の周りの誰かが囁く

彼のいない間、何度も「諦めろ」と私の中の誰かが囁く

それでも私は諦めなかった

諦められなかった









そして今、私の隣に彼がいる

三年という空白の時

その間に伸びた、朱紅(あか)く長い髪も

その間に変わった、少し大人びた顔も

その間にあまり変わらなかった背丈も

そして―――全く変わっていない無邪気な笑顔も

そのすべてが愛しい



――――昨日までの憂鬱は捨てて

変わらない明日を祈ろう

ありふれたいつもの道ふたり

何気なくただ 歩いてく

確かなことはただひとつだけ

手を伸ばせばほら貴方がいる――――




「ねぇ、ルーク。」

そう呼びかけると、長い髪を靡かせながら振り返ってくれる

「うん?何?」

輝くような笑顔を共に問い返してくれる

「……いえ、何でもないわ。」

そう言うと少し膨れる

「なんだよそれー。」

「ふふふっ。」

そんな彼が愛しくて、私は微笑んでしまう








「―――……愛してる、ルーク……―――」



end...



ご本人より

場面設定はED後のとある日のことです。
最後の方は、二人で買い物してるような姿を思い浮かべながら読んでいただけると光栄です。



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作品提供者:star様

ティア独白のED前後ルクティア…ッ!
嘘だと分かってても諦めろと言われてもルークが好きだと思い続けている…
そんなティアに思わず感動してしまいました!!
短い文章で伝えたいことをしっかり伝えていて、しかも最後はらぶらぶで!
star様、素敵なルクティアをありがとうございました!
(後書きがありませんでしたので勝手ながらメール本文より選抜させて頂きました)



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